本日の作業
サイクリング日和の穏やかな天気の神戸よりこんちは。店長のナカです。
当店のお客さまは明日、連れ立って淡路島100キロコースをブロンプトンで走るそうです。
天気も良さそうですし羨ましいですね。
さて、ブロンプトンジャンクション(と姉妹店のLORO)ではお買い上げ頂いた車両のメンテナンスを永年無料で承っております。
ですので活用頂いているお客様は頻繁に点検にお持ち頂いておりますが、できれば特に不調を感じていなくても半年に1回ぐらいはお持ち頂けると嬉しいです。
本日の作業は「1年ぐらい乗れてなかったので、念のため点検を・・・」ということでお持ち頂きました。
2013年前記モデルのM6R(レーシンググリーン/ブラック)です。
やはり1年近くも乗られていなかっただけありまして、空気が抜けて、やや埃が・・・
とはいえ1年乗っていなかっただけですし、今日もお店まで乗ってきて頂きました。
ということで空気も入れてフレームも拭いて、各部の増し締めをして、リムとブレーキのチェックを・・・ぉぉぉお?
後輪のリムが一部分だけ歪んでいます。
あれ、転けた?事故にあった?とか思いましたが、原因はここでした。
スポークが1本破断していますね。
予想以上のトラブルです。
お客様も乗って来られた間、ちょっと違和感があったそうですが、意外と気づかないという方も多いんです。
まさかスポークが1本無くなってるなんて思わないですから「ちょっと違和感」程度で走れてしまいます。
スポークがなくなっていることに先に気づいていたら多分乗れてないと思います。
という訳で、早速緊急オペ開始です。
後輪を外して、タイヤも外し、スポークが通せるようにギヤ板も外して。
まずは作業しやすいように汚れを落とします。
今回はついでに軸のベアリングも調整しています。(専門用語で球アタリ調整って言います。)
※机の上が散らかっていますが緊急オペらしさの演出です(汗)
こちらが破断したスポーク。
※後ろにブラックエディションのホワイト×ブラックがありますが、最後の1台なので早めに買って下さいね。というメッセージでは決してありません。
ご覧のとおりスポークは付け根の曲がっている部分(専門用語でクビって言います)がもっとも破断しやすいです。
余談ですが、2013年からはリムがダブルウォールになりまして同時にスポークも少し良いものになっています。(リムの説明はこちら)
最も破断しやすい付け根の部分だけちょっと太いんです。
通常、自転車でよく使われるスポークの太さは約2ミリなんですが、このスポークは付け根の部分だけ2.2ミリになっています。身近なところでは魚屋さんなんかが使っている実用自転車(黒くてごっついやつです)でよく使われるサイズですね。
因みに2012年以前のブロンプトンは付け根だけでなく全体的に2.2ミリのスポークを採用しています。2013年からは軽量化のために付け根だけ太いスポークに切り替えました。
(専門用語でいうと#13-14のシングルバテッドと言います。)
余談がえらく長くなって締まっていますが最後に1つ。
このスポークはSAPIM製です。SAPIMと言うとスポーク製造メーカーとしてはトップクラスのメーカーでして、高級なロードバイク用ホイールのあんなメーカーもこんなメーカーも実はSAPIM製スポークだったりします。スポークをよ~く目を凝らしてみるとSAPIMと書いています。なかなか良い物使っているんですよ。(長い余談はここまで)
作業自体は新しいスポークを通して、全体のバランスを見ながら締め直すだけ。なんですがもちろん文字で書くほど簡単ではありません。
今回の場合、全てのスポークの張り具合を修正しています。
状況によっては1本スポークが破断しただけでも他のスポークに影響が出るので全交換となることもあるのですが今回は1本の修理で済みそうです。
スポークの張り具合のバランスが取れたら組み戻して、試乗・再チェックで完成です。
作業前に後輪を洗ったので見た目を合わせるために前輪も拭いておきました。
こんな感じで点検にお持ち頂いて初めて気づくこともございます。
特に調子が悪くなくても神戸周辺に来られる時はついでにお立ち寄り下さいね。
今回の修理は1時間ほど掛かりましたが、通常の点検であれば待ち時間がなければ15分ほどで済みますよ。