Diamond Jubilee Brompton【2012】のオーバーホール。
こんにちは。ブロンプトンジャンクション神戸のイトウです。
8月も後半に差し掛かりましたが、まだまだ暑いですね、、、
引き続き熱中症には気をつけていきましょう。メンテナンスのご相談もお待ちしてます。
さて、ジャンクション神戸では常日頃からオーバーホールのご依頼をいただいていますが、今回は珍しいモデルをお預かりしましたので、オーバーホールの作業工程含めご紹介させていただきます。
ある日、お客様から「オーバーホールをしてくれませんか」とのお問い合わせが。
お持ちいただいた車体を拝見すると、それは2012年に販売されたDiamond Jubilee Bromptonでした。
こちらはエリザベス女王の即位60周年を記念して、世界限定500台で生産されたモデル。
スペックはMiddleハンドルに内装3段変速(M3L)、レッド＆ホワイト＆コバルトブルーのフレームにホワイトのマッドガード。
さらにBROOKS B17レザーサドル、ユニオンジャックのロゴデカールにユニオンジャックのフロントバッグ付きという豪華仕様。
この仕様で当時の価格は210,000円(税込)。思わず「安っす」と声が出ちゃいましたよ。
お客様もジャンクション神戸のカウンター裏に展示してあった車体に惹かれて購入されたとのこと。
購入から12年間、街乗りや通勤で使用されていたとのことで、そのぶん汚れや痛みが出てます。
レザーサドルは乾いてヒビ割れを起こしてしまっているし、サドルの高さをキープするシートスリーブも削れてスカスカの状態。これはやりがいありそうですね。
お見積もりにご納得いただけたら早速オーバーホール作業の開始です。
まずは洗浄しやすいよう可能な限り分解し、フレームについた砂ぼこりや油汚れを落としていきます。ケーブルで擦れて塗装が剥がれている箇所も見て取れます。
ふだんは泡のクリーナーで洗浄することが多いですが、それでも落とせないようなしつこい汚れにはコレ。台所の掃除によく使うメラニンスポンジです。
水に濡らして強く擦ると汚れが簡単に落ちます。マット塗装の場合ツヤが出すぎてしまうのでやりすぎ注意です。
フレームを洗浄したあとはキズのタッチアップ。ミズタニ自転車さんの販売しているブロンプトン用タッチアップで補修します。
削れてボロボロになったシートスリーブも新品に張り替え。シートポストの固定力が復活しました。
クランクやチェーンリング、ブレーキなどのコンポーネント類にも汚れが蓄積しているので念入りに洗浄します。
最後はオーバーホールの醍醐味とも言える各部ベアリングのグリスアップ。
ベアリングのスムーズな回転は快適な走行に不可欠なので見過ごせません。
(とうとうこのブラックボックスを開ける時がきたか、、、)
80年以上の歴史を持つスターメーアーチャー製の内装ハブを開けていきます。
内装ハブは基本的にメンテナンスフリーですが、10年も使っているとグリスが乾いたり汚れが溜まったりで変速や走行に支障をきたすことがあるので、専門店でのグリスアップが必要になります。
ハブの中にはこれだけの数のギヤ部品が入っており、それぞれが重要な役割を担っています。
自動車のトランスミッションに似た構造になっていますね。
遊星歯車機構と書いて「目に見えないロマン」と呼びます。カリオストロの城です。
はい、カリオストロの城がキレイさっぱり洗われました。
これからまた長期の使用に耐えれるよう、丈夫なグリスを塗って確実に組み込んでいきます。
目指すは「回転が軽くて静かな」内装ハブです。
すべての部品が揃ったら組み立てはあっという間。カラカラだったレザーサドルもオイルアップしました。
お預かりから見積もり、完成まで約1ヶ月いただきました。
入念にテスト走行して問題がないことを確認したら、オーバーホールはついに完了。名車復活です。
お客様も「予想以上に綺麗になっていて驚いた。依頼して良かった。」と大変満足されているご様子でした。
これからもたくさん乗っていただけたら嬉しい限りです。
オーバーホールのご依頼はいつでもお待ちしてます。
お預かり後は状態確認とお見積りをして、金額や納期にご納得いただいてから作業に取り掛かります。
まずはお気軽にご相談ください。
このDiamond Jubilee Bromptonが発売された2012年はロンドン・オリンピックの開催年。
当時学生だった僕は、オープニングとクロージングセレモニーの凝った演出に釘付けになってました。
エリザベス女王とジェームズ・ボンド、ジョン・レノンとポール・マッカートニー、オーケストラで演奏するMr.ビーン、、、挙げればキリがないですが、一番脳裏に焼き付いているのはミューズの圧倒的なライブパフォーマンスですね。
(ピアノ弾き語りからの激歪みギターかっこよすぎるやろ…)